私は佐賀県出身です。学校を卒業すると、祖母より「日本刺繍の先生を紹介するから指導受けたらどう」と言われました。そこで、すばらしい師匠の下で薫陶を頂き、わずか三年間でしたが独立することができました。その後、福岡に転居して店を構えました。毎日が地味な仕事で頑なに家に籠り、着物に家紋を入れたり布地に色んな糸で絵文字や模様を縫い表す技術なので根気のいる作業でした。還暦を迎える頃、身体に不調を感じるようになりました。そのとき、知人から「家に引き籠るより外に出て、地域の人達と交流を深めた方が前向きになります」と助言され、平成18年4月に『福岡市シルバー人材センター』に入会しました。まずは軽いスポーツで体力づくりと思って、“ボウリング”“社交ダンス”“カラオケ”等を始めました。お陰で会員との触れ合いも増し楽しく過ごしています。シルバー人材センター設立25周年記念の会員作品展に、自作の着物、帯、袱紗を出品しました。又、センターの総会、芸能大会などで好きな演歌も披露しました。
現在、老人ホームに入居されている89歳の女性の方の付き添いをし、週1回ほどボウリング場へ通っています。ストライクが取れるとお互いに喜び合いハイタッチを交わします。このようにスポーツで得られる喜びと感動を共有しながら頑張っています。年に数回は故郷を訪れ、昔過ごした旧家での想いや親族に会える楽しみで心の安らぎを得ています。
これからの人生は昔取った杵柄を最大限に生かしながら就業し、人間関係を円滑にするために『人に優しく自分に厳しく』がモットーですと、含蓄のある言葉を頂いた取材でした。