感謝の言葉が書かれた“お宝”を前に 喜びを語る鳥部一路さん
城南区の会員鳥部一路さん(75)が持ち出してきたのは、模造紙いっぱいに記された寄せ書きです。それには「ナフキンやエプロンが縫えるようになって嬉しいです」とか、「初めはミシンの使い方が分かりませんでしたが、おじさんのお蔭でミシンがけが楽しくなりました」など、城南区堤小学校5年3組の生徒37名のミシンの使い方を教わったことへのお礼と、感動とが思い思いの言葉で書かれていました。
「17歳で紳士服の仕立屋さんに弟子入りし、テーラーとしての修行を積み、昭和39年には『世界紳士服コンクール』で技術賞を受賞しました。全国のお得意さんから注文をもらい、オーダーメイドの紳士服を作っていましたが、全国を飛び回る生活に疲れを感じるようになって11年前に一線を退きました」。
テーラーとして世界トップクラスの腕前を持つ鳥部さんが、ボランティアで堤小学校のゲストティーチャーとしてミシンの掛け方を指導したのは昨年の11月のことです。
「この話があったとき、長年の技術が役に立つのであればと思って引き受け、糸の掛け方や縫い方など6回に分けて指導しました。正しくミシンを使えばちゃんとした布製品ができるものですが、子供たちがあんなに喜んでくれるとは意外でした。その笑顔こそ私の何よりのエネルギーです。学校からは『今年もお願いします』と言われています。もちろん、喜んで引き受けるつもりです」と言葉を弾ませる鳥部さん。
11年前に福岡市シルバー人材センターに入会し、普段は月に10日程、街頭指導に精を出している鳥部さんですが、再びゲストティーチャーとして教壇に立つ日が待ち遠しくてたまらないといった様子で近況を話してくれました。